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書くつもりで書いていなかった事。

この月末になってふと思い出して。

全くタイムリーじゃない話題なんですが。

何かっていうと、そう、トップシンバルがね。閉店したんです。

8月31日の話だったんですが。

その結構前から知ってはいたので、せめてマスターにお疲れ様の一言でも言えばなんて思ってたんですけれど、なんとなくその最後の日というのが苦手で。自分の思い入れのある場所が消えゆく時はいつもそうで、楓の時も、四分休符の時も、結局最後の日には立ち会わず。


19歳のある日、天王寺の歩道橋を友人のアッキーと歩いていたら、


「あ・・・そういえばさ、この下に確かジャズ喫茶あるねん」


歩道橋を降りた先はなんだかよくわからない雑居ビルの入口。modernjazz トップシンバルという看板があって。どうもこの地下らしい。

「よしよし、いってみよ」

地下へ歩みを進めようとすると、アッキーが何か怖気づいてしまって、

「アカンなんか雰囲気アレやし、やっぱ今度にしよ;」

「ええやん。行くで」

何でアッキーがここで怖気づいたかというと、その前の深夜、西田辺で入った喫茶店が賭け麻雀の喫茶店で、とりあえず入った我々はそこで落ち着かない1時間を過ごしてしまったという体験をしたばかり。夜とはいえカーテンを閉めている喫茶店なんて怪しいに決まってたんだけれど。

腰が引けたアッキーを後ろに、思い切ってドアを押した先はもう10人も入れば満杯になりそうな小さな空間。

マスターが冷ややかに私たちを一瞥し、「どこでもええよ」と言ってくれたので手前のテーブル席にとりあえず座った。

その日からトップシンバル通いが始まった。特にその日怖気づいてしまっていたアッキーは一転毎週の様に通っていたらしく、時折私が寄ってみるとマスターが彼の事をよく話していた。

私が一番好きで飲んでるJimBeamsも、ここで覚えた。実はジントニックやジンバックの親戚なのかと思って頼んだらバーボンが出てきてしまった、というのが始まりなんだけれど、以来これ1本やりになってしまった感じで、ボトルも何度か入れた。

ここへは本当にいろんな人と来て、前述のアッキーはもちろん、地元の懲りない面々や、バイト先の友達、学校の後輩、母上(後にも先にも母上と外で飲んだのはここ1度かも)、自分の思い入れのある友人達と思いっきり話して、思いっきり煙草を吸って、沢山のJimbeamsをここで飲んだ。マスターは自分がいつ誰と来ても、「おっ、いらっしゃい」で、「この前は」「そういえば」なんて時間を感じさせる様な言葉を投げかけられる事もなく、その日その日の時間を過ごさせてくれた。


「何か聞きたいのある?」


急に聞かれると緊張してしまい、「ハンクモブレー」か「コートニーパイン」のどちらかがつい口をついて出てしまってて、おかげ様で両者のレコードはほとんど聞いた感じに。

摂津に引っ越してきてっから天王寺という場所が遠くなってしまったのもあって、確か最後に行ったのは5月か6月の暑い時期、客先に行ったついでの昼に、コーヒーを飲みに飛び込んだ。

四角い灰皿がすぐに満杯になってしまうので、吸った順に綺麗に並べていたらそれが丸太を並べた感じになっていて、アッキーに「"いかだ"やな」と言われる位、恐ろしい本数を吸ってた。


20代のうちで”飲んだ”といわれる時間は、ほとんどここで過ごした様な気もして。




最近出不精になってるのは、そんな自分の時間を過ごせる隠れ家が無くなってしまったからかも。

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