阿倍野へ行く用があって、新今宮からまた歩いた。
歩きっぱなしだ。
じっくり歩いて見る事にした。
太子町。
本当に猫の多い街なんだけれど、行政を巻き込んで猫とヒトが穏やかに共存出来る管理体制が構築されていた。増える一方の猫に対して去勢・避妊を行い、一方で不自由の無い生活を送る事が出来る様、食事やトイレが設置されていて、猫達も見る限りでは栄養状態にすぐれていることが窺える。
確かに街中には猫の隆盛けしからんという様なエサやりへの禁じ書きをしている処も有り、決して皆が猫好きというわけではないんだろうけれど、街角を猫が悠然と歩く街はとても暖かく感じるし、そこに住んでいるヒトの心豊かさも感じるし、鉄筋コンクリートで整備された街には無い「生活感」が溢れてる。
猫好きの主観だからそう思うのかもしれないし、そうでないヒトには立ち入る事も憚られる様な感じなのかも知れないけれど、整備され、高層・蜂の巣化される住宅地が急速に拡大する中で、自分はこの太子町や山王の街らしい空気は好きだ。
公衆猫トイレ。40匹以上居る界隈の世話は本当に大変な事だと。
探さなくてもそこここに居る。
この鼻の膨らんだ顔。
ポスターの下で。
商店街方面へ抜ける道中には、ドヤと呼ばれる宿場街がズラっと続く。
最近になってよく歩いているけれど、この太子・山王町のすぐ西側には労働センターの有るあいりん地区、いわゆる釜ヶ崎エリアになっていて、「日本一暴動の起こる街」といえば分かりやすいか。全国から日雇い労働者が集中し、IDが無くても宿泊、銀行口座の開設、食事、福祉の享受が出来る。いや、出来た、かもしれない。最近の界隈の事情は観察していないので分からないけれどそんなに変わっては無いんじゃないだろうか。
大阪では別に珍しいというわけでもないけれど、最先端と言われる日本にも、路上生活が当たり前の労働者街が有って、交差点を挟んで斜向かいでは観光客でごった返す新世界が広がっていて、かなり不思議な光景。「じゃりン子チエ」の舞台もこの地区になる。
ドヤは概ねこの価格。グレードの高低は風呂の有無や、3畳~6畳の広さの違いあたりだったと思う。
西側にこの労働者ゾーンが有る一方で、東側は「飛田新地」。現役の遊郭で広大。日没に明かりが灯れば夏祭りの夜店の様な行列がどこからともなく出来上がる。この東西に挟まれて、猫達が暮らす太子・山王地区が有る。鳥瞰すると大変なところに有るのは一目瞭然。太子町の西側街境界には所轄が一応常駐してるけれど、概ねスルー。
みどり公園が夜間閉鎖されているのは、寝床としての利用を防衛する為の施策だと思う。
「ここから先は俺を倒してから行け」という顔をしていたので、この後いいだけ追い回した。