週末の有馬、夕食の時に自分を避ける様に会話をしているのが聞こえたけれど、特に気に留めてなかった話題が、食事の後の座談で改めて、報告として話題に上がった。
「非常に言いにくい事なんやけど・・」
と、全員が神妙な顔つきになるものだから、我々の中の誰かに重大な事件でもあったのかと思ったら、高校の頃自分が大好きだった子が、未婚の母になったというニュースだった。
聞いて、1人少し離れたところにあったソファから顔を出して、
「へぇ...そうなんや」
という感想に、全員がエエーッ!という、こちらが驚く様なリアクションだったけれど、そりゃもう大人にもなれば誰かと夜を過ごす事もあろうし、未婚の・・なんていうケースだって、有るっちゃ有るだろうし。その事実に驚く理由がなかった。
ただ、何もかもが自分の憧れで、非の打ち所のなかった彼女が未だに未婚だなんていうのが信じられなかった。きっとみんな自分に気を使って(卒業してからも折にふれて彼女の事を話していたので)、結婚した事を報告しないだけなんだ、ホントは相応の相手がいて家庭をもってるんだ、と考えていたので、むしろそうでなかったという現実にショックを受けた。
ついでに色々また思い出した。
2組の教室で初めて逢った時(席が前後ろ)の事から、楽器にDQのスライムをつけてもらったささやかな思い出、何度も家まで送っていった事、ミヤベと取り合いになった事、瓜破のマクドで試験勉強した事、合宿の後に初めてツーショットで写真を撮った事、卒業後に彼女の家の前で喋ってる時にタバコを1本取り上げられ、揉みに揉んで「こうしたら美味しくなるんやろ??」って、葉っぱをブッサブサにされた事や、電話etc、最後に自分が彼女を見た十数年前その時まで、一緒に過ごした時間や表情も声もオレンジの様な香りも手の傷?、の他にも膨大な時間とカットを覚えてる。
いつまで覚えていられるのか判らないけれど、一切接点が無いまま時間が過ぎても記憶って結構綺麗に残るもんなんだなという感。彼女はもう忘れてるだろうな。
長居公園の信号の手前で、自分が部活をやめたいと吐露した事とか、まぁ今だったらケータイでばしばし写真でも撮ってるんだろうけど、当時はんなもん無かったし、一瞬を記憶に切り取るしか無かったし。
その記憶をまた凍結しなおして、なんとなく皆より先に寝てしまった。
自分だって何もなかったわけじゃなかったし、同じ空の下で元気で居てくれたらそれでいいんじゃない?と思える程には落ち着いた。