それは夕方突然入ってきた。
営業所在勤の頃、日々仕事のやりとりがあり、プライベートでも何度か遊んだ事のあった北陸のエースの訃報だった。自分が営業所を出てからも営業所勤務で、その任務を承継出来る者が居ない素晴らしい配車マンで15年以上。古巣の営業所スタッフに電話をしてみると勿論全員ザワついていた。
いつも電話で「先生~」って出だしで話始める彼は、のんびりした声色で愛嬌のある喋り口、誰からも好かれて、信頼を置かれる性格、笑った顔はブサイクだったけれど、そのブサイクささえ愛され、一緒に居て退屈しない人柄。
ひょろっとして頼りない風貌とは裏腹に頭の回転が恐ろしく早い。就職せずにフラフラしてたところを、父親に自分の会社に入れとワーワー言われてシブシブ同じ会社に就職したっていうのが信じられない程のやり手で、自分も何度も助けられた。
大阪に遊びに来た時はうちの営業所スタッフの女の子達に挟まれて嬉しそうにしてたのを今でも覚えてる。最後に話したのは、実務とは別件で電話した去年の夏頃。相変わらず「先生~」って切り出しで話し始めて元気そうだったのが、聞くと先月入院していたらしく、そのまま帰れない事になったらしい。
一緒に怒涛の時期を戦ってきた僚友が、まだ37歳。
本当に今からという時に残念過ぎる。
もっと話しておけばよかった、最近どんな感じ?って声をかけておけばよかったし、いつかまた仕事を一緒にやってみたかった。今更どうにもならない事だけど、恐らく十数年ぶりであろう長い休暇に入った彼に黙祷した。