「防御しといたほうがいいよ」
「ん.さっきのど飴なめました」
「スキルの方は?」
「あれはまだLv低くて気休めだからw」
「追跡w」といって,たまに僕を追いかけてくる投げ賊さんと一緒に,ルディブリアムの時計台の下,歪んだ時間の道に立っていた.
使ったばかりののど飴がスースーする.これで10分間は防御力がup.
投げ賊さんは盗賊特有のスキルで半透明になって敵の攻撃をスルーするので(賊さんはこれを”DS”と言っているが詳しい事は判らない),特に心配は無い模様.あのスキルを使えると何処へでも行けるので便利だ.
さて,息を大きく吸って降下準備.
「さ,行くか」
「ん」
降下開始.
ゆがんだ時間の道はレベルの高い敵が多く,降下途中に接触する敵からは軒並み1000以上のダメージを食らう.もうとにかく接触するのが怖いので,敵の名前がなんだったかもよく覚えて居ない.ダメージを食らうごとに,こたつねこがHPを回復してゆく.自動回復ラインを50%発動に引き上げておいたのでHPゲージが左右にビュンビュン動く.
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メイプルのペットは,HPやMPの自動回復,アイテムの収集が可能で,もともとそのスキルを持つペット,もたないペットが居るんだけれど,我がこたつねこは何のスキルも持たない野良猫だったので,それぞれのスキルを買い与えた.
アイテムの収集は基本的に自分が敵を倒してドロップした自己所有権のあるアイテム収集がメインだけれど,スキルによって所有権が無くなったアイテム(一定時間経過すると所有権が無くなる)を収集する事も可能だ.
ただ,狩りスタイルによってはアイテム収集をあとまわしにして,ひたすら敵を倒してアイテムのじゅうたんを作っている人も居る.そんなところに所有権無し収集可能なペットを連れてゆくと,無差別に収集してしまうので大変な事になる.僕も何度か見たけれど,もうひたすら謝られた.
「すみませんすみません;;」と謝っている主人の横で,一生懸命他人のアイテムを収集してるペットが悲しくみえる.
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さて.こたつねこの自動回復を得ながらなんとか”歪んでいる回廊”へ到着.目の前に居る敵に息を呑んだ.
物凄い音を立ててこちらを威嚇している.
「あれがゲートキーパーか」
「うん.」
歪んだ時間の通路には,「ゲートキーパー」なる強烈なモンスターが居るという事は,ネットで調べているうちに知っていたけれど,実際目の前にしてみると中央ダンジョンのタウロスピアなんか目じゃない威圧感.まさに「ガッチリここを守ってます☆」と言わんばかりのコワモテである.
「さて.あいつを目の前にして動けないわけだが,ときにヤツはどれほどのダメージを食らわしてくるのかね?」
「2000くらいかな?」
今のところ3500のHPを持っているので耐えうるダメージだけれど,回復が間に合わない場合もあるので,こたつねこの回復を無効にして手動で回復する事にした.つまり「回復ボタン押しっぱなし」作戦である.
前進.
ゲートキーパーは正面から来る私に対し思いっきり鎌を振り下ろしてくる.
第1撃,ダメージ1700.回復.
第2撃,ダメージ1700.気絶.
気絶て(汗.
ピヨりながらも回復が出来たのでなんとか切りぬける事が出来たと思ったら,後ろであのいまいましい墓ドロップの音が鳴った.
投げ賊さん討ち死に.
「ちょっw 置いてかないで;;」
とはいえ,止まっている暇は無い.なんと目の前に2体目のゲートキーパーが迫っていた.
「2個も居るのかよ;」
「うん」
「そういう情報は先に欲しかったな;」
攻撃したらどんな仕打ちに合うか判らないので,とてもじゃないけれど斬り付ける事なんて出来なかった.執拗に気絶させられたのもあって随分手間取ってしまった.
単身「時計塔の奥へ」到着.投げ賊さんがテレポストーンで飛んでくるのを待つ.
「戻って;」
「え?」
「後ろ戻って;」
「ゲートキーパーんとこ?;」
「うn.飛べない」
どうも時計塔の奥は瞬間移動が出来ない地域らしく,しぶしぶゲートキーパーのところまで戻らなければならなくなった.
歪んでいる回廊へバックした途端,再びゲートキーパーの洗礼を受けた.テレポートしてきた投げ賊さんがこっちへ向かってくるのがMAPで確認できたけれど,またもや墓ドロップの音が聞こえてきた.
投げ賊さん討ち死に.
続いてゲートキーパー2個に囲まれたミスターふとんむしも,最後に強烈な一撃を位食らい戦死.
「幽霊になったら追いかけられない?」
「うん・・・」
グダグダになって時計塔探検終了.
辛い思い出しか残ってないけれど,とりあえず最下層まで行くだけ行った.
リベンジしたいので同行者求む.