あんた誰なんだよ。

外線発信する時に、物凄いタイミングよく着信をひろってしまうコトがある。

客先にかけてるのに、何故かいきなり「もしもし!?」と言われる。おお、またやってしまった、と。こちらもイキナリな事なので、「あ、はいはい」と返すと、

「どちらさん?」

と来たもんだ。名乗らないアンタなんかにこちらを明かす必要はネェよと名乗り渋っていると、どうもこちらから先方の携帯にかけたらしい。多分間違い電話だろうと思って体よく切ろうと思ったらこれがまた食い下がってきやがるもんで。

──ええ。多分間違えてそちらにかけてしまったと思います。ええ。ええ。

普段のやんわり口調で話してると先方はこれがまたヤクザな口調。間違いなく何処かの運送関係だ。

「誰が電話したんか判らんのかいな。発信履歴とか無いんかい」

──弊社の電話には履歴機能が無いんです・・・申し訳ありません。

「何人くらいそこに居るん?」

──えーっと、15人くらいですね。

「何の会社なん?」

──はい、当社は運送業です。

「何処にあるん?」

──摂津市の鳥飼というとこですね。


相手は多分携帯にウチの代表電話番号を登録してるんだろう。こちらは発信番号でかけてるから、先方のアドレス帳表示では出ない筈。でも8回線ある発信番号は似通っている番号だから、ここまでゆってしまうと、万が一ウチを知ってる荷主なり業者であれば見当がつくと思う。遅ればせながら警戒態勢に入ったんだろう。ここで先方の口調が大人しくなった。

「なんていう会社さんですか・・?」

──○○○といいますが・・・。

「○○○ねぇ・・・あれ? あれっ!? ○○○さん?もしかしてマツバラさんですか!?僕△△運送の××です!」

今年から新規でウチと契約した運送会社で、配送から再保倉庫まで、色々と委託をしてみている。現状立場的にはウチが圧倒的優位。先方はそこの営業マン。

──あぁー!××さん?なんか知ってる声やなぁって思った(笑。

「すんません!すんません!今の忘れて下さい!今の忘れて下さい!今の忘れて下さい!」

──意外な一面見たわぁ(ニコニコ。

係長や課長が万が一出てたらと思うと可哀想だなと思った。直営はともかく業者のこういう態度には二度と敷居を跨げない程烈火の反応を見せる。アクシデントとはいえ、先に社名を明かしてあげればよかった。悪い事した。


自分と相手が今何故喋っているのか、また相手の役職や、色んな要素を踏まえ、自分が絶対優位であるという確定状況でない限り、粗暴な口調は使ってはいけない。多分今回は先方個人宛にかかってきたんだろうと思ったんだろうけれど、特に携帯には自分の得意先がいつどんなところから電話してくるか判らないというのも有る。今回は後でみんなで笑えるネタで終わったけれど、逆の立場だと思うとゾッとする。

とりあえず自分と相手が今何故喋っているのかが判らないのであれば、一旦切って出直す・待つが正解だと思う。その時点で切っておけば後で言い訳もし易い。