古い話

「そうかぁ・・まぁ、お前がやりたい事が見つかったんならしゃぁないかー」


もう何年も通った派遣会社の事務所。当時の部長とテーブルを挟んで1時間。

7年の歳月をこの派遣会社で過ごしているうちに、物流の色んな現場を見る事が出来たし、現場の中で必要なスキルも覚えた。今向かいに座っている部長は、私がこの派遣会社に来た時からずっと付き合いのある部長。

いつも冷静で、幾度となく起こした自分のトラブルも、何度と無く処理して貰った。今考えると相当怒られたに違いないし、怒られるだけじゃすまない問題も色々有ったと思う。


後半の3年程は派遣事務所での内勤にも関わった。


別にこの派遣会社が嫌になったわけではないし、部長をはじめ皆いい人ばかり。

何を間違えたかこの派遣会社の面接に来てしまってから7年。このまま物流のもう少し奥へ飛び込んでみたいと思っていた矢先、当時勤め先であった会社の営業所運営がその会社の子会社に引き渡される事になった。

これがきっかけで、自分に社員登用の話が回ってきた。

派遣会社、勤め先の親会社、これから運営を担う子会社。3つの選択肢があった中で、子会社を選んだ。親会社は古くから上場している企業だしこの先ずっと困らないに違いないけれど、今から伸びるであろうこの子会社は、確たる根拠は何もなかったけれど、自分にとってものすごく魅力的だった。



「とっとと営業所長になって、仕事の電話入れてくれよ。」



あれから4年。



今日はなんだか回りが派遣業法の話で賑やかだったのもあって、そういえばわたくしの古巣はどうなってるかなーと、ホムペを検索してみると小奇麗なサイトにリニューアルされていた。

あの部長の事だから、取締役にはなっている筈だと思って会社概要を見てみると、予想に違わずその名前があった。

うっかり現場路線からはずされて、「とにかく早いとこ異動させろ」と社長の一声で営業所から本社へと巻き込まれてしまったので、現店の営業所長にはもうなれないだろうけれど、別の意味で若干上昇気流ではあります。電話する時が来ると信じて、名刺はまだ持ってますよ。


その日も結構近くなった様な気がする。